私の人生は私のものだ。
ほかのだれのものでもない。
私が楽しくなければ、楽しくないのだ。
逆に私が楽しければ、楽しいのだ。
一度だけの人生だから、楽しく過ごしたい。
誰かを犠牲にしたとしても。
その誰かのためにも自分が楽しい人生を送らなければと思う。
私が幸せでいてくれれば、犠牲になったかいがあると、あの人ば思ってくれればだけれど。
むしろ、私を不幸のどん底に落としてても自分が幸せになりたいとあの人が思っているのなら、私は自分の人生を終わらせるしかない。
私が自分の人生を終わらせてしまえば、あの人は二度と幸せにはなれないし、今の居場所を追われることになる。
私が死ぬことを考えているなんてあの人はつゆほどにも考えていないだろうが、私を追い詰めたら、私は自分を殺すことをいつでも考えている。
人を殺すのは嫌だ。でも自分を殺すことは私の自由だ、だれにも止めることはできない。
止めることができるのは私自身なのだ。
私は、一つのことを考えている。
それは誰も知らない土地に行って、だれにも知られることもなく、身元不明になって野垂れ死にすることだ。
みもとがわかったときには、わたしは骨になっている。
無縁仏に入れられている。
そのほうが私にとっては気が楽なのだ。
そんなことを考えているなんて、夫も娘たちも、今施設にいるあの人にもわからないだろうけれど、私はいつしかそう考えるようになった。
私には誰も頼る人なんていない。
犬だって、私よりは先に死んでしまうだろうし。
そうしたら私は大手を振って仕事を辞められるし、夫の元を離れて、どこか知らない街に行こうと思う。
夫は悪い人ではないけれど、私の本当の気持ちを分かってはくれない。
娘たちだって、本心では私のことなんてどうでもいいと思っている。
まあ、私の思い込みだといいのだけれど。
だから今のうちに、この家を居心地のいい場所にしておきたい。
私がいなくなっても夫が快適に暮らしていけるように。
できれば、私よりもあの人(施設にいる人)が先にあの世に行ってほしいけれど。
しぶとく生き続けるなら、私が先にあの世に行ってしまおうと思う。
そうすれば、念願かなって施設から出られるし。居場所はないけど。
私はあの人から解放される。
本当の意味で解放されるのは、私かあの人のどちらかが死ぬ時だと思う。
残念なことだけど。
犬が生きているうちは、私は幸せなふりをして、生活していこうと思う。
犬を二度と不幸な目にあわせたくないから。
ジャッキーのことは、今でも後悔している。
チェンには、後悔したくないのだ。
それだけは。